「幸せになる勇気」から考える幸せになる技術
アドラー心理学の本として、日本でベストセラーとなったのが「嫌われる勇気」です。
今回は、その続編である「幸せになる勇気」から、幸福なパートナーシップを築くための方法を考察していきます。
「幸せになる勇気」が伝えたいこと
前作では人間関係について言及していたのに対し、本著では「愛」がテーマになっています。
恋は落ちるものでなく、自らの意思で築きあげるものであり、愛されるよりも愛する技術を説いています。
愛は受け取るもの(受動的)ではなく、どこまでも能動的な行為であると、哲人は青年に説きます。
また、相手を疑うのではなく、先に信じることが大切でもあると。
中でも私がこの本を読んで印象的だったフレーズは、
「わたし」や「あなた」よりも上位のものとして、「わたしたち」を掲げる
というもの。
恋愛をするとどうしても自己中心的になったり、逆に相手に尽くしすぎてうまくいかなくなることはよくあるものです。
どちらかを大切にするのではなく、
わたしたち2人にとっての幸せ
を考えることが、大事なのです。
わたしたち2人にとっての幸せとは?
具体例を挙げていきましょう。
交際を始めたばかりのカップルがいるとします。
彼女の方は毎日でも彼に会いたいと言い、彼の方は週一回くらいがいいと言っています。
どちらが良い・悪いというのではなく、お互いの適切な距離感が異なっている状態です。
そんな時、彼女の希望を優先すると彼の負担になってしまい、彼を優先すると彼女は寂しい思いをしてしまいます。
これでは、「わたしたちの幸せ」を築くことができません。
どうすれば、2人ともが納得し、適切な距離感で過ごすことができるのか?
これを考える必要があります。
このケースで、よくよく彼女に話を聞いてみると「毎日会いたいのは、彼に浮気をされそうで不安」ということでした。
彼女は以前付き合っていた男性が浮気をし、それから男性不信になってしまっていたのですね。
この場合、彼女の根本的な要求は、毎日会うことではなく安心できることでした。
彼女にとっての幸せは、彼の浮気を疑う必要なく安心感を持てることであり、毎日会うことではなかったのです。
そうと知った彼は、彼女を不安にさせないようにこまめに連絡をとり、熱心に彼女へ気持ちを伝え続けました。
彼としても、自分の時間を大切にしたい思いがあり、会うのは週一回が理想的でしたが、メールや電話はそこまで負担にならないとのこと。
このようにすれば、お互いの気持ちを大事にしながら、2人は良好なパートナーシップを築くことができます。
大切なのは、自分勝手になることでもなく、相手を優先することでもありません。
「わたしたちの幸せ」を築くことなのです。